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メイクス技建の雑学講座

メイクス技建株式会社の更新担当の中西です

 

さてメイクス技建の雑学講座~歴史~

ということで、今回は、シーリング工事の歴史を深掘りしながら、技術革新の流れを詳しく解説していきます♪

 

シーリング工事は、建築物の隙間を埋めることで「防水性」「気密性」「耐久性」を向上させる重要な工事です。現在では、住宅やビル、橋梁(きょうりょう)など、さまざまな構造物で当たり前のように施工されています。しかし、その技術の発展には長い歴史があり、時代ごとに材料や施工方法が進化してきました。


1. 古代のシーリング技術:天然素材を活用

(1)粘土や樹脂を用いた隙間埋め

シーリングの概念は、実は古代文明にまでさかのぼります。
エジプト文明やメソポタミア文明では、建築物の隙間を埋めるために 粘土、樹脂、アスファルト などの天然素材が使用されていました。特にアスファルトは防水性に優れており、古代エジプトのピラミッド建設やナイル川周辺の住宅で活用されていた記録があります。

(2)日本の伝統建築における防水技術

日本でも、飛鳥時代や奈良時代の寺院建築において 漆喰(しっくい)や木材樹脂 を用いた目地処理が行われていました。
江戸時代に入ると、和紙に柿渋を塗った防水シート(柿渋紙)が屋根や壁の隙間の補修に利用されるようになりました。


2. 近代のシーリング技術の発展

(1)19世紀~20世紀初頭:産業革命と防水技術の進化

19世紀の産業革命により、建築技術が飛躍的に進化しました。
この時期には、以下のようなシーリング材料が登場しました。

  • 石灰モルタル(目地材として利用)
  • タール・アスファルト系の充填材
  • 天然ゴムを利用したシール材

特に、鉄道や橋梁などの建設において、金属部材の接合部分に ピッチ(瀝青=れきせい)やタール を充填する技術が発展しました。

(2)1920年代~1950年代:近代的なシーリング材の誕生

1920年代になると、ゴム系や樹脂系の材料が登場し、従来のモルタルやアスファルトに代わって利用されるようになりました。

  • ブチルゴム系シーリング材(1930年代)
    → 自動車や航空機の防水に使用
  • ポリサルファイド系シーリング材(1940年代)
    → 高耐久性を持ち、建築物の目地に使用され始める

第二次世界大戦後(1950年代)には、工業化が進み、高層ビルやプレハブ建築の増加に伴い、より耐久性・柔軟性の高いシーリング材が求められるようになりました。


3. 現代のシーリング工事:高性能材料の開発

(1)1960年代~1980年代:シリコン系・ポリウレタン系の普及

1960年代には、現在の主流となる シリコン系シーリング材ポリウレタン系シーリング材 が登場しました。

  • シリコン系シーリング材(1960年代)
    → 耐候性が高く、外壁やガラス窓の目地に多用される
  • ポリウレタン系シーリング材(1970年代)
    → 柔軟性があり、コンクリート建築の目地に適用

この頃から、ビルやマンションの外壁防水工事で本格的にシーリング材が使われるようになりました。

(2)1990年代~現在:環境対応型シーリング材の登場

1990年代以降は、環境負荷を低減するシーリング材 の開発が進みました。

  • 低VOC(揮発性有機化合物)シーリング材
  • ノンブリードタイプ(汚染しにくいシーリング材)
  • 耐久性向上型シーリング材(30年以上の寿命を持つもの)

また、近年では 「超高耐久シーリング材」や「自己修復型シーリング材」 などの最先端技術も研究されています。


4. 未来のシーリング技術

今後のシーリング工事は、さらなる 省エネルギー化・環境配慮型材料の開発 に進んでいくと予想されます。

  • 自己修復型シーリング材
    → 微細な傷を自動で修復し、長寿命化を実現
  • ナノテクノロジーを活用したシーリング材
    → 汚れを防ぐセルフクリーニング機能
  • カーボンニュートラル対応シーリング材
    → 環境負荷をゼロにする新素材の開発

また、AIを活用した 「自動施工ロボット」「ドローンによる点検システム」 なども導入が進むと考えられます。


5. まとめ

シーリング工事は、古代文明の天然素材から始まり、近代のゴム・樹脂系シール材へと進化し、現在では高耐久・環境対応型の材料が開発されています。建築技術の進歩とともにシーリング工事も進化し続けており、今後もさらに 高性能・省エネ・環境対応型 のシーリング材が求められるでしょう。

これからのシーリング工事の発展に注目しつつ、最新の技術を取り入れた施工が求められています。歴史を知ることで、これからの防水技術の方向性を理解する一助となれば幸いです。