メイクス技建株式会社です
~材料選定と目地設計~
建物の外壁や窓まわりを見ると、部材と部材の間に細いすき間が設けられています。このすき間は「目地」と呼ばれ、そこへ弾力性のある材料を充填する工事がシーリング工事です。
一見すると、すき間へ材料を詰めるだけの単純な作業に見えるかもしれません。しかし、シーリング材は建物への雨水の侵入を防ぎ、外壁やサッシの動きを吸収し、気密性や耐久性を保つ重要な役割を担っています。
外壁材や金属、ガラス、コンクリートなどは、気温の変化によって伸びたり縮んだりします。地震や風、建物の振動によっても、部材同士の位置関係はわずかに変化します。
この動きに追従できない材料を使うと、シーリング材が切れたり、外壁から剥がれたりする可能性があります。
シーリング工事業における技術とは、単に材料を充填することではありません。建物の構造、外壁材、目地の動き、周辺環境を理解し、適切な材料と施工方法を選ぶことです
今回は、シーリング工事の品質を左右する材料選定と目地設計の技術について紹介します。
シーリング材の主な役割は、外壁や窓まわりから雨水が侵入するのを防ぐことです。
外壁材の継ぎ目、サッシと壁の境界、配管が外壁を貫通する部分などは、水が入り込みやすい場所です。
シーリング材で連続した防水層をつくることで、雨水を建物内部へ侵入させにくくします。
しかし、役割は防水だけではありません。
部材の動きを吸収する緩衝材としての役割もあります。
外壁材同士を硬い材料で完全に固定すると、温度変化や振動による力が逃げず、外壁材そのものへひび割れが発生する可能性があります。
弾力性のあるシーリング材を目地へ充填することで、部材の動きを受け止め、建物全体の負担を軽減します
シーリング材には、容器から出してそのまま使用できる一成分形と、主剤と硬化剤などを混ぜて使用する二成分形があります。
一成分形は、カートリッジやフィルムパックから取り出して使用できるため、小規模な補修や細かな作業に向いています。
二成分形は、専用の機械や器具を使って材料を混ぜ、現場で使用します。
大量の目地を施工する現場では、作業効率や材料性能を考えて二成分形が選ばれることがあります。
ただし、二成分形は混合比や混ぜ方が不適切だと、硬化不良や性能低下につながる可能性があります⚠️
気温や材料温度によって使用可能時間も変わるため、必要量を計算して練り混ぜなければなりません。
材料の特徴だけでなく、現場規模、施工量、作業時間を考えて選択することが重要です。
変成シリコーン系シーリング材は、外壁目地、サッシまわり、金属部材など、幅広い場所で使用される材料です。
耐候性や接着性を持ち、硬化後に塗装できる製品もあります。
塗装工事と組み合わせる場合は、使用する塗料との相性を確認します。
シーリング材の上へ塗装した際、塗膜が割れたり、べたついたり、変色したりする可能性があるためです。
塗装可能とされている材料でも、すべての塗料と問題なく組み合わせられるとは限りません。
施工前にメーカー資料を確認し、必要に応じて試験施工を行います
シリコーン系シーリング材は、耐候性、耐熱性、耐水性に優れ、ガラスまわりや水回りなどで使われます。
一方で、一般的なシリコーン系材料は表面へ塗料が付着しにくいため、後から塗装する場所には適さない場合があります。
また、成分の影響によって周囲の塗装面や石材へ汚れが広がる可能性もあります。
耐久性が高いからどこへでも使えるわけではありません。
ガラス、金属、外壁、塗装工程など、周辺条件を確認して採用します
材料選定を誤ると、シーリング材自体は残っていても、仕上げ工事へ悪影響を与える場合があります。
ポリウレタン系シーリング材は、硬化後に塗装しやすく、外壁のひび割れ補修や目地などへ使用されることがあります。
ただし、紫外線へ直接さらされる場所では、表面が劣化しやすい場合があります。
そのため、上から塗装して保護する施工が前提となることがあります。
塗装前の乾燥時間や、塗料との適合を確認します。
硬化前に塗装すると、シーリング材の変形や塗膜不良につながる可能性があります。
材料の長所だけでなく、施工後にどのような仕上げを行うかまで考えることが大切です。
ポリサルファイド系シーリング材は、耐油性や耐久性を求められる場所で採用されることがあります。
石材やタイル、建築目地など、使用場所に応じた製品があります。
しかし、材料にはそれぞれ接着しやすい下地と、注意が必要な下地があります。
周辺部材との相性や、施工後の塗装、汚染の可能性などを確認します。
古い建物の改修では、既存シーリング材がどの種類なのか分からないこともあります。
異なる種類の材料を重ねたり、接触させたりすると、接着不良や硬化不良が起こる場合があります。
既存材料の確認と試験施工が重要です
窯業系サイディング、金属サイディング、ALC、コンクリート、タイルなど、外壁材にはさまざまな種類があります。
材料ごとに、表面の吸水性、動き、接着性などが異なります。
窯業系サイディングの目地は、温度や湿度によって動きやすく、シーリング材へ繰り返し力が加わります。
ALCは吸水性があるため、下地が湿っている状態で施工すると、接着へ影響する場合があります。
金属部材は温度変化による伸縮が大きくなることがあります。
シーリング材の種類だけでなく、プライマー、目地寸法、施工厚などを外壁材に合わせて設計します
シーリング材が十分な性能を発揮するには、適切な目地幅と深さが必要です。
目地が狭すぎると、建物の動きを吸収できず、シーリング材が破断する可能性があります。
深すぎる場合は、材料の使用量が増えるだけでなく、形状によっては動きへ追従しにくくなることがあります。
目地幅に対して適切な深さになるよう、バックアップ材やボンドブレーカーを使用します。
施工前には複数箇所を測定し、目地寸法のばらつきを確認します。
同じ建物でも、場所によって目地幅が異なることがあります。
狭い部分だけを無理に充填するのではなく、必要に応じて施工方法を検討します。
外壁の動く目地では、シーリング材を目地の左右二面へ接着させ、奥面へは接着させない二面接着が基本となる場合があります。
三面すべてへ接着すると、シーリング材が伸び縮みする際に力が集中し、破断しやすくなる可能性があります。
目地奥へバックアップ材を入れたり、ボンドブレーカーを貼ったりして、奥面への接着を防ぎます。
ただし、すべての場所が二面接着というわけではありません。
窓まわりや小さな隙間など、目地形状や設計によって三面接着となる部分もあります。
施工場所の役割を理解し、設計図書や仕様書に基づいて判断します
プライマーは、下地とシーリング材の接着を助ける重要な材料です。
同じシーリング材でも、コンクリート用、金属用、塗装面用など、下地によって使用するプライマーが異なる場合があります。
指定外のプライマーを使うと、十分な接着力が得られない可能性があります。
逆に、必要以上に厚く塗ればよいわけでもありません。
塗り残しがないよう均一に塗り、指定された乾燥時間内にシーリング材を充填します⏰
プライマー塗布後に雨やほこりの影響を受けた場合は、状態を確認して再処理を検討します。
石材、塗装面、金属パネルなどでは、シーリング材の成分によって周囲へ汚れが広がることがあります。
施工直後はきれいでも、時間がたつと目地周辺へ黒ずみや変色が現れる場合があります。
汚染しにくいタイプの材料を選ぶ、目地周辺を適切に養生するなどの対策が必要です。
特に外観を重視する建物では、防水性能だけでなく、美観の維持も大切です
シーリング工事業では、外壁材、目地の動き、塗装、温度、紫外線、水分など、多くの条件を確認して材料を選びます。
高性能なシーリング材であっても、使用場所や下地に合っていなければ、本来の性能を発揮できません。
シーリング工事業における材料選定の技術とは、普段使っている材料をすべての現場へ使用することではありません。
目地の役割と建物の条件を読み取り、適切な材料、プライマー、目地形状を組み合わせることです。
完成後には見えにくくなる細かな判断が、建物を雨水や動きから長期間守っているのです✨